優しい話。
やましい話。
誰かが私を賞賛します。別の誰かも。
優しいと。
その優しさは人の憂いで。
そうですか、しない優より偽優ですか。
ですが私は思います。
例えば私と誰かがいます。それぞれの銃を相手の胸に。そんな状況。
「撃つわけない」と相手が言っても。笑っても。
「撃つわけない」と私も言っても。笑っても。
私は彼を撃ち殺します。すぐに。生き残るために。
この優は猜疑よりも儚く。おぞましく。
偽優はやはり優ではないのです。義勇でも。根元は傷です。
偽優にできるのは己に損のない範囲のこと。具体的には千円以内。
自己憎悪者は自己弁護者。
理知の呪い。危地の呪い。銃痕のような命。